[第33回]Lindowsの可能性と限界
2003.11.16
Windowsは初心者にもやさしく使いやすいが、ライセンス認証というやっかいな問題があって高くつく。一方Linuxはフリーで安価(基本的に無料)だが、難しくて初心者にはインストールさえままならない。そこで、その両者の長所だけを採り入れた、画期的なOS、Lindows
http://lindows.livedoor.com/が誕生、というのがこのOSの「売り」である。即ち、Windowsより劇的に安い! インストールが簡単! Windowsライクな使いやすいユーザーインターフェイス! 家庭内ライセンスフリー! 等々
雑誌の付録にその画期的な新OSがあったのでどんなものかと早速インストールしてみたのだが、これって、何か変。Linuxそのものじゃないの? 調べてみて分かったことだが、Lindowsというのは、Debian GNU/Linux
http://www.debian.org/
をベースに米lindows.com社
http://www.lindows.com/
が開発した、クライアントに特化した、Linuxの新ディストリビューションであって、決して「新OS」ではない。
騙されたようでがっかりしたが、どうして、Lindowsという紛らわしいネーミングを採用し「新OS」とまで言うのかという疑問がわいてくる。
それについて、元麻布春男氏の秀抜な文章がある。氏は、「Linuxが一般ユーザー向けのOSにならない本質的な問題は、それを生み出し、支えるカルチャーで」あるとし、以下のように述べる。
元麻布氏は、Linuxが普及しない原因はLinuxを生み出し支えるカルチャーそれ自身であると言う。更に氏は、「Linuxが広く一般に普及するために必要なのは、これまでのLinuxカルチャーとは異質なとことから出てくる商売人だ。」とした上で、次のように述べる。
Linuxコミュニティーに期待したいのは、こうした商売を始める人たちを温かく見守ってほしいということだ。マイクロソフトと戦うには、マイクロソフトと同じ土俵で戦えるカルチャーが必要なのである。(同)
そういえば、Lindowsのパッケージには、Linuxという文言が一つもない。LindowsはLinuxであることを極力隠そうとしている。「Linux=難しいOS」というイメージが邪魔になる。これは確かに商売人の感覚だ。
こういうLindowsに対して、Linuxのカルチャーが拒否の態度を示すことなどないに違いない。Linuxはすでに十分商業化されており、どんなディストリビューションが登場しようと、常に温かく見守ってきたし、それはこれからも変わらない筈である。Linuxコミュニティーは「一般ユーザー」に使ってもらわなくてもよいと考えている、などとは夢想だにしないにもかかわらず、そう言われてもそれがそのディストリビューションの「売り」であるなら、それも温かく見守るに違いない。
さて、前置きが長くなってしまった。肝心のLindowsの可能性と限界であるが、なかなかいいと思う。インストールはWindowsより簡単で、短時間。ハードについての知識は何も要求されない。ネットワークの設定も自動でいける。おまけに、私が使っているEPSONプリンターのドライバーまで用意されていて、即カラー印刷可能。使ってみると、Windowsよりやや重いが、ストレスを感じるほどではない。ひょっとしたら、これはいけるかもしれない。若干の皮肉を込めて言うなら、これにWordとExcelとPowerPointがのっかれば、必ず、Windowsの牙城を崩せる。
「一般ユーザー」は、OSの出来ばえなどを問題にしない。そもそもOSの存在自体を意識しない。大切なことは、WordとExcelとPowerPointが使えるかどうかということだ。しかも、最新のバージョンのをだ。もし、WordとExcelとPowerPointの完全互換のアプリケーションが開発されるなら、必ず、Windowsの牙城を崩せる。ただし、その開発は、Linuxコミュニティーに頼らざるを得ない。この辺が、Lindowsの限界か。
追い打ちをかけるようで恐縮だが、最後に自明のことを追記しておく。私が試したのは「LindowsOS 4.0 日本語評価版」だが、これは、カーネル2.4.20
http://www.kernel.org/
、XFree86は4.2.1
http://www.xfree86.org
、デスクトップはKDE3.0.1
http://www.kde.gr.jp/
を採用している。Lindowsが限りなくLinux色を払拭すべくいかなる努力を積もうとも、X Windowを採用する限りはXFree86を超えられないし、Linuxである限りはカーネルを超えられないのである。
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