8bit NOW 夏愚行篇


第九章「落ち込んでスパークせよの巻

 

のぶおが満面の笑を浮かべて大事そうに握り締めているソフトこそ私が長年捜し求めていたソフト”サーカスチャーリー”であった。

隊長「お、お前…。こんなのガラスケースにあったか?」

のぶお「太陽の光でソフトが色あせていたんで隊長は見逃したんでしょう。」

実際にソフトを見ても、のぶおの言う通り良く見なければタイトルも判読できないほどにそのソフトは変色してしまっていた。

うかつであった。

ジャンケンで先攻をとったにもかかわらず、のぶおが「急がないと赤穂に遅刻する。」の一言で私はゆっくりとソフトを物色する心のゆとりがなかったのである。

ここまで来て”サーカスチャーリー”を見落とすとは、なんたるチア(死語!※自分ツッコミ)であろうか!


隊長「チャーリ〜 チャーリ〜」(半泣き)

運転中、私はため息と、チャーリーへのラブコールを繰り返すばかりであった。のぶおはそんな私の姿を見て、心の底から「見つけてヨカッタ」というような顔をしている。

いつもの2倍の笑顔である。

のぶおはそんなにチャーリーには執着していなかったハズである。しかし旅も回を重ねるごとに私が「今回もチャーリーはなかったな…。」を繰り返していたことで、いつのまにかのぶおも「チャーリー欲しい病」に感染してしまったのであろう。

のぶお「いやぁよかったっすねぇ」(これ以上はない笑顔)

私はもう少しで愛車のハンドルを引き抜いてしまうところであった。これはもうマゾ・サドの世界である。いたぶりによる快感。重要ソフトをゲットした喜びと、悔しがる私の姿を見てのぶおの喜びは頂点に達しているようだ。

気持ちをどうにか落ち着けた私は、今のこの悔しさを忘れるように話かけた。

隊長「のぶおよ、俺も大人やからグズグズ言わへんけど、”サーカスチャーリー”はその昔MSXにも移植されていた味のあるソフトでなぁ。サーカスで馴染みのある道具を使った横スクロールのアクションゲームで、俺ずっと欲しかったんだよね。」

のぶお「隊長。思いっきり未練たらしいっすよ。

隊長「お前、本当に今回は運がいいよなぁ。」

のぶお「いやぁ、ぼくのはシールがもうはげているから状態としては最悪っすよ。今後もっと美品に出会えますよ。」

隊長「じゃぁ、その汚いの倍の値段で売って!

のぶお「めっちゃ大人げない!!」(爆笑)

隊員同士でモメてどうするのだ!俺の心の天使の声(笑)と悪魔の声が言い争う。だが今振り返ってみれば、大人げないぞ。呉(笑)。

のぶお「あんまり笑いすぎたんで、おわびにこのソフトあげますよ。持ってます?」

隊長「いや、持ってないけど。」(虚脱状態)

 

 電撃ビックバン!!!(笑)

 

このソフトではチャーリーをのがした私の心のすき間は埋まりそうにはなかった。

 


 

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