祝!ビーチクボーイズ新曲「早よでてー」レビュー

カリブと風呂屋の番台は男のロマン!ニューヨークタイマーズ誌


まだ”ビーチクボーイズ”を聴いていない方は「こちら」からどうぞ。

 

  ビーチクボーイズの新曲が夏の風に誘われて運ばれてきた。制作進行中の噂は断片的に耳に入ってきていた。「どうやらリゾートソングになるらしい」「キーワードはカリブ」「シャドーコーラスは従来の2倍」

 シャドーコーラスについては静炉巌氏のページに詳しい記述があるが、ここで少し補足すればボクシングでいうシャドーボクシングのバカペラ版と言えるだろう。

 本番前に行うリハーサルであり、それは主に通勤中の電車内で行われる。本線にそって見事なコーラスを組み立てるセンスはビーチクボーイズのトレードマークであるが、それは簡単には出来ないことが窺える練習法である。

 時には熱中するあまり思わず鼻からコーラスが漏れてしまうこともあり(爆笑)、当然、乗客から白い目で見られることは必至である。そういった”産み”の苦しみを経て届けられた新曲を、実を言えば私は発表されてから3日間聴かずにいたのだ。

 一方では猛烈に聴きたい衝動と、そしてもう一方では聴いてしまえば、必ずその完成度の高さあまり、私の進行中であった新曲「もういや」を確実に投げ出してしまうであろう恐怖との闘いの結果でもあった。

 そうしてようやく自作を完成させた後でビーチクボーイズの新曲との御対面となるのだが、数分後私は世界バカペラ界の厚いカベを思い知ることになる。

 いくら静炉巌氏の弟子である私が日本バカペラ界のホープであろうとも、ビーチクボーイズの織りなすマジックボイスは私の精神を破綻させるのに充分であった。

 まず、今回もやはり”モノマネ”が組み込まれている。「一体、持ち芸はいくらあるのだ!」と言いたいくらいだ。今回は”ぬりかべ”と”マイケルジャクソン”が静炉巌氏に見事に憑依した(笑)。

 この「美しいにもかかわらず、お約束通りモノマネにメタモルフォーゼする展開」こそが世界レベルのバカペラサウンドであり、音程を追うだけで必至な状態である私と比べると、余裕もユーモアーの差も歴然である。そうして曲中にちりばめられた光るポイントも我々は聴きのがしてはならない。

 ”は・よ・でー は・よ・でー は・よ・でー”

 の弾むような歯切れのいいボイシング。カリブと風呂屋の番台を繋ぐ静炉巌氏ワールド。デジタル時代を逆行するかのような自宅の戸を外してまでのノックパーカッション。特筆すべきことは山積みである。

 「こ、これが世界バカペラレベルのバカペラリゾートサウンド…。」

私の必然の沈黙はしばらく続きそうである。