祝!ビーチクボーイズ新曲「ハゲの唄〜髪のみぞ知る〜」レビュー
「ビーチクボーイズの新境地」ニューヨークタイマーズ誌
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まだ”ビーチクボーイズ”を聴いていない方は「こちら」からどうぞ。 |
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ビーチクボーイズのシングル連続リリース第二弾は、休養宣言の直前に発表されたビーチクボーイスの新たな飛翔を見せてくれる曲に仕上がった。 休養宣言の後を受けてのこのレビュー。私は涙無くして書き続けることができない。 クリエイターは創造なしでは生きられない。ビートルズだってビーチボーイズのブライアンウイルソンだって、毎日の過酷なツアーにイヤ気がさし、休んだではないか。 毎日のきついツアー(更新)から開放され、ビーチクボーイズ、いや静炉巌氏はきっと大きくなって我々の目の前に姿をあらわしてくれるだろう。 さて本題の「ハゲの唄」レビューに入ろうではないか。諸君。 前作「ええかっこしい」は第一期終了を無言で訴えかける文句無しのケッサクであったことは、今更検証するまでもない。この新曲はあきらかに従来の作風から断絶している。 街の風景をスケッチし、ストリート上のストーリーを再構築することは佐野元春をはじめいろいろなアーティストが試みている手法だ。 ビーチクボーイズの視点は、待ち行く”ハゲ”に向けられた。そこで”ハゲ”と同化した時、ビーチクボーイズから湯水の如く言葉が溢れ出した。ソウルフルな歌詞の根源はここにある。 しかしビーチクボーイズも、新境地をそのままストレートにリスナーにぶつけるのではなく、今までのリスナーにもスンナリ入れるような”仕掛け”いわば”マジック”が曲の導入部に隠されている。 私を含む昭和40年代組の子供の頃の3大キーワードといえば「屁」「うんこ」「ハゲ」この3つである。ドリフターズ世代であるならば、この3つはほとんど共同幻想と言っても過言ではあるまい。 青ハナ垂らして駄菓子をむさぼり喰らう幼年時代にトリップする手だてとして、ビーチクボーイズは「ウルトラセブン」のオープニングをコラージュした。 このあまりに懐かしすぎるメロディは聴く者を無条件に幼児退行する効力を有していた。ビーチクボーイズマジック”ここに極まれり”といったところか。 そのまま曲は進行するかと思いきや、曲は一変し、大胆な転調を迎える。このへんのカタルシスは(抑圧された精神的苦悩を積極的に表出させてコンプレックスを解消する療法 以上辞書より)真摯な歌詞とあわさって、まさに額面通りの展開を迎える。 コーラスは更に複雑さを極め、一種念仏のようなバカペラドラッグともいうべき超空間が絶妙なコーラスにより演出されている。 歌詞の隙間から、ドス黒い血が滴り落ちるような魂の叫び「毛が欲しい」。 街の風景をスケッチするどころか、”同一化”しているといってもいいだろう。そしてその”同一化”が新生ビーチクボーイズたる所以なのであった。 今までの幼き、ここであえて”幼き”と言い切ってしまおう。は、数々のモノマネの憑依を繰り返してきた。「タケダ先生」「サブ北島」「ぬりかべ」etc... それは一種のトレードマークとして機能し、燦然と輝く世界バカペリストとしての地位を不動のものとするに至った。 しかしそれだけで終るバンドではない。一個人がこなせるモノマネには限度がある。前作「ええかっこしい」では禁断ともいえる「熱中時代」にまで手を出してしまった。 「せんっせーのー なーまえはぁー」北野広大のモノマネを差し置いての、オープニングの子供のモノマネである。 そのマイナー視点も通にはタマラナイ所だが、ビーチクボーイズは”憑依モノマネ”の手法を完全に切り捨てた。今回の「ハゲの唄」にはモノマネは一切含まれておりません。 おそるべき新境地の正体。それはビーチクボーイズ自身が”霊魂”と化し、街で目についた”ハゲ”と一体化してしまった事実!! 私はこれを”逆憑依”と名付けたい。 これならば似ているモノマネを繰り出すより、遥かに無限の可能性を手中におさめることができよう。もしかしたら貴方も、貴方のおばあちゃんも、貴方のピチピチのお姉ちゃんも今後ビーチクボーイズに逆憑依され、作品になる可能性があるのだ。 なんという発想の転換! 癲癇を起こしそうなアイデアである。愚鈍な私は、新曲を最後まで聴き終え「なーんだ今回モノマネないや… ま、待てよ…」と、自分の体から体温が抜けていくのを実感した。逆だ。これは全て逆だ。 聖帝サウザーの”逆秘孔”より恐ろしい手法だ。 延々と続く”一体化”したハゲビーチクボーイズの苦悩のコーラス。切実な言葉は聴く者全ての心を打つ。改めていうまでもなく、名曲「神のみぞ知る」へのオマージュであり、生えるも抜けるも”神(髪)のみぞ知る”というダブルミーニングを、バカペラリスナーなら即座に理解せねばなるまい。ビーチクボーイズは哲学者の域まで達した。 充分な休養をとり、ぜひバカペラも再始動して欲しい。年末の「バカペラCD2」は、新、旧あわせた”二枚組”の夢を、我々”8bitバンド”はまだ諦めていないのだから…。 完 (99.4.1) |