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オモチャ屋
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昔はデパートに行けばオモチャ屋さんに急行であった。 親が大事な用で買い物にこようが、私の服を買うためにデパートに来ていようが、そんなことおかまいなしでオモチャ屋に走った。 それはどれくらいスゴイかというと ダイエーのエスカレーター2段とばしで五階まで行く スゴさであった。 週に一度くらいは来ているハズで、一週間でそんなに商品も変わっていないハズなのだが、なんせ走った。 まだテレビゲームのない時代であったから、子供の娯楽の主流はやはりオモチャ屋から発信されていたのだ。 ガラスケースに並ぶ超合金。すこし大人の世界の臭いがしたモデルガンコーナー。はじめて買ってもらったラジコンがコントローラーにケーブルがついていて、更に左にしか車がまわらなく、モノホンのラジコンを持つ子供達の和に入ることが出来ないトラウマを背負わされた宿命のラジコンコーナー。 そこは子供達の桃源郷であった。 しかしファミコンが普及してからは私もファミコンに熱中し、オモチャ屋よりもゲーム屋に足を運ぶことが多くなり、いつからかオモチャ屋のガラスケースからは疎遠になっていった。そうして子供達の間でも 「オモチャ屋に行くのはダサイ。時代はゲーム屋」 という風潮が蔓延し、余計にオモチャ屋に行きづらくなったのも事実だ。 であるからして、長い間オモチャ屋。それもデパートのオモチャ屋とは御無沙汰であったのだ。ところが最近、それも田舎のダイエーに家族で買い物に行く機会があり、そこの食料品売り場はカートが子供を乗せられるようになっていた為、嫁さんが「ブラブラしてきてええで。」と珍しく私を荷物持ちから解放してくれたのだった。 自由時間になっても、ここは田舎のダイエー。さびれたDPE屋さんやドムドムバーガーなどいかにもダイエーのつくりの中でゲームショップがあるとは考えられず 「でも、もしかしたら古いファミコンが定価であったりなんかして」 みたいな事を考えながらダイエー定番の”5階オモチャ売り場”へ行ってみることにした。”2段とばし”をせずに。 久し振りの空気だ。なにか懐かしさが込み上げてきた。 私はゲームをみるよりオモチャの棚の方に心を惹かれて、足をそちらの方へ向けた。私は胸の高鳴りを自然と感じていた。 まだこんなもんがあるのか?! それはウルトラマンのソフビ人形であった。最近は初代ウルトラマンのものも再版されているらしく、吊るされた人形達は私を歓迎しているようにも思えた。みんな名前を知っているヤツらだ。 「おおー。お前はダダ。三面怪獣だな。クラスに一人はダダに似ているヤツがいたなぁ。おお、お前はベムスター。新マンのスペシウム見事吸いとったもんなぁ。ああっ!これは タッコング!! おまえ名前そのまんまやな。歩くタコ焼きだな。」 私は腰を落としていつしか人形を手に取っていた。オモチャ屋も捨てたもんじゃない。なぜ今まで覗こうとしなかったのだろう。私はこんなのが大好きだったじゃないか。 次に足を向けたのがプラモコーナーである。私は棚を見た瞬間、身体に電流が走るのを感じた。 こ、これはアンドロメダ!! そう。それは宇宙戦艦ヤマトの100円プラモシリーズである。 箱の角の減り具合を見ると結構古く、どうやら当時の売れ残りのようであった。このヤマトシリーズは結構買った。値段が100円とまことに リーズナボー であったし、組み立ても艦の左右を同梱されている安っぽいボンドでピタッとくっつけ、あとは艦橋をつけたら完成という手ごろ感がよかった。 また、このアンドロメダという宇宙戦艦はカッコよかった。 主役のヤマトでさえ波動砲は一つしか搭載していないのに対し、このアンドロメダは最新戦艦なので前方に波動砲を水平に二つ搭載していたのだ。その名も ”拡散波動砲” 敵艦の前で波動砲が拡散し、包み込むようにして敵をせん滅してしまうのだ。またアンドロメダは波動砲のチャージも早い。 ヤマトが波動砲一発打つのに、艦内の電気を節電してまでチャージするのに対し、アンドロメダは数十秒でチャージをした。 小学生の頃は定番のネタとして ”助さん波動砲” ”角さん波動砲” というベタベタのギャグを使ったことも懐かしい話だ。 しかし敵役のデスラーの事を思い出すと、これまた考えてしまう事もある訳で、ヤマトの世界では、あの光線の正式名称は”波動砲”である。それなのにデスラーは平気で 「タラン・・。デスラー砲の準備だ。」 と、勝手に名前をデスラー砲に変えてしまっているのだ。 まぁ、デスラーは一国の総帥だから、エゴもきっとものすごいんだろうし 私がデスラー砲といえばデスラー砲! なわけで、タランも「でもそれは波動砲です。」と独裁者に忠告できなかったのであろう。 これは名前がデスラーという横文字っぽい響きであるから気にならないわけであって、これがもし独裁者の名前が、 「タラン・・。竹田砲発射準備。」とか 「タラン・・。別府砲はまだか」 となったら、絶対タランも処刑覚悟で注意をすると思うのだ。 いろいろ懐かしさを憶えながらアンドロメダを棚に戻す。そうしてとなりの棚に目をやると私の眼球はその時2ミリ程前に飛び出たハズだ。 こ、これはドダイYS!! ドダイYS。それはアニメ番組「機動戦士ガンダム」で敵モビルスーツを輸送した飛行機のようなものである。忘れかけていたものが頭の中ではじけた。 「懐かしいなぁ。」 ガンダムプラモがブームになった時はオモチャ屋に並んでも買えなかったものだ。完全予約で週に5コか6コ入るような戦後の配給のような様相であった。そんなブームの中 「俺、2コ欲しいなぁ」 なんて言おうものなら、 グフとセットなんてドダイ無理な話! といったベタベタのツッコミをされたものであった。 手に入らないものだからモビルスーツを諦め、残っていたキャラクタープラモを買ったりなんかする。やはり”カイ-シデン”が余っており、マチルダさんやセイラさんのプラモは売れていた。 当時私も”セイラさん”のキャラプラモを買った。マチルダさんも好きであったが、ドムにやられて チダルマさん になったので、生きている方を選んだのだ。 珍しくプラカラーと細筆を買い、家に帰って注意深く彩色する。完成したセイラさんを満足げに手に持ち 下からスカートを覗いた ことは、絶対に嫁さんには知られたくない過去だ。 なんだ。滅茶苦茶欲しいもののオンパレードではないか!他のガンプラやヤマトプラモの事が無性に気になった。しかし、これ以上長居をすると確実に プラモ探し探訪記 のコーナー発足まで行きそうな気がして、ただでさえ色々なコーナーが遅れている私は、自分の首をまた絞めてしまう事を恐れ、泣く泣く”下りのエスカレーター”へ向かうのであった。 |
完
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