ジェネレーションギャップ

 

自分の事を「歳とったなぁ…」と思う節目とは一体いつ訪れるものなのであろうか?

ちなみに私は今年99年の5月27日で20代に別れを告げた。佐野元春的に言ってみれば

僕は三十路になった

である。

しかしなんですな。三十路になった。といっても本人にその自覚なんてサラサラなく、気分はいつでも二十代であるし、ヘタすると浜田省吾の「19のままさ」あたりを口ずさんで、10代を気取ろうとしたりさえする。

日頃は同世代と顔を合わせて仕事をしているが、その気になれば10歳年下でも、コギャルさん連中とも、きっとハートをすんなり通わせ、「ヤングのハートを鷲掴み」など容易い芸当だと思っている。

精神年齢は未だに10代なのだ。気分だけは若かったりするのだ。

きっとスンナリ溶け込めると…、信じていたのに…

日曜日にポッカリと時間が空いた。

嫁と子供は奥さん連中の会合に朝早くから出ていき、昼前に起きた時私は一人であった。

不意の空いた時間というのは、それはそれで困る。まず軍資金がない。昼からでは遠出するといっても時間が中途半端。

「とりあえず街に出て、ジュンク堂でも行って立ち読みでもすっか…。」

のそのそとパジャマを着替え、先週ジャスコに買い物に行った時に「特価品」で買ってもらった6980円のブーツの箱に目をやる。次の休日におろそう。と思って、まだ開けていなかったのだ。

私は新品の履を買うと十中八九家の中で履いて歩く。誰も見ていないので部屋中を歩き回った。風呂まで歩いた。

ブーツのサイズは丁度よかった。気分がいいのでそのままパンを焼いた。

ブーツを履いて朝食を

である。

そしてそのまま部屋から外出していった。部屋と外界が地続きの一瞬。快感である。

街を歩いていると異様な人だかりの店を見つけた。看板に目をやると「100円ショップ」とある。

若い娘から主婦層まで、たいそうな賑わいだ。日本人は行列好きである。いや、祭り好きなんだろうな。

御多分に漏れず私もその列に加わった。

ある程度店舗の中を歩き回る。中には「こんなもんも100円か?」と思える商品もあった。ふとレジに目をやると、角度によっては「優香」に見えないこともない、年のころ18.9の若くてカワイイ女性店員が目についた。

「三十路にもなって“ひやかし”で店を出ていくのはマズかろう」

自分に納得をさせる。ただ単に女性店員に近づきたいだけなのに。

レジも空いていたので、私は適当にファンシーノートを手に取ると、そのまま女性店員に直行した。

近くで見ると尚更カワイイ。「お近づきになりたいわぁ」

店員は新人らしく、手つきもまだたどたどしい。レジの操作も一呼吸置いてからだ。

レジの近くに商品棚に店員が書いたと思われるPOPが飾ってあった。

この商品、

  鬼はやってます!!

 

な、なんなのだ? これは?? 最初私は「鬼は、やってます」かと思った。

しかしそれではこの店舗の営業となんら関係もない。鬼がやるのは節分だけだ。

仕事の鬼、プロフェッショナルな連中で運営してます。かとも思ったがそれも似合わない。

目の前の女の子はどう見たってド素人だ。

もしかして「鬼、流行ってます」なのか? 鬼ってなんなのだ?

私は店員に話をするチャンス! とばかりにこのPOPをネタにして話しかけてみた。

呉「スイマセン。この「鬼はやってます」というのは、どういう意味なんですか?」

店員「(少し笑った後)

呉「いえ、だからこの「鬼」というのは最近流行りの「チョー」と同じ意味ですか?」

店員「(間も置かず)

まったく話にならない。会話が成立していない。笑ってばかりだ。目の前でこうも笑ってばかりというのも、考えれば失礼な話だ。きっかけがまったく活かしきれていない。このままではいけない。固いのか? 俺は固いのか? もっとくだけてみようか?

呉「わかったよ。これは新しい…、要するにオニューな言葉なんだね。」

店員「(死にかけながらも)

レジは「チン」と虚しく音をたてた。店員と向かい合う20秒は何も生まずに終った。

「何がヤングのハートを鷲掴み、だ…。」

帰宅してから先ほどまで部屋を暗くして体操座りをしていたので、少しケツの肉が痛い。

18.9の女の子と、まともな会話もできない現実に私は衝撃を受けていた。かなりブルーである。

結局、一方的に私が話しかけるばっかりで、相手からは何も帰ってこなかった。

「終始笑うだけ」が今回の結果である。

彼女に私は一体どう映ったのだろう。

明日からはコギャルを見ても「仲間」という気は起こらず、「宇宙人」を見るような目になることだけは間違いなかった。

(99.10.19)