助平天国

 

「スケベッ!」

と、こうカタカナ表記にしてしまうと何かチャーミングに感じ、それは頬を赤らめた女の子が好きな男の子に向けて好意的に発する健全なコミュニケーションをイメージしてしまうのだが、

助平

みたいに漢字表記にしてしまうと、ネッチョリとした、それでいて一種「不治の病」的な印象を喚起し、何かこう救いようもない感じがしてしまうのだ。

ニュースなどで「これはギャグではないのか?」と思うくらい無茶苦茶な内容の報道を耳にする時がある。スポーツ新聞の見出し風に言えば

「教師、女子プール更衣室で盗撮!」であり、

「警察官、取り調べ中に淫行」みたいなヤツだ。

そりゃ男です。女子更衣室はロマンです。取調室でのエスカレートは羨ましすぎる職権乱用です。妄想は光の速度で駆け回ります。でも妄想で留まるのと、実際にカメラ置いちゃうのとでは雲泥の差なのです。

その辺りの境界線が不鮮明になっているのは何も「世紀末」のせいなどではなく、女子高生のスカートが80年代に比べてかなり短くなったとか、キャミソールが「外出着」として定着したといった「あちら側からの挑発に呼応した」点も大いに関係し、よく言いますと

助平が自己主張を始めた

みたいな事になっちゃってる訳なのであります。

これは「倫理の垣根」に対して「やっぱり男だから仕方ないよね」といった「一億総開き直り」現象とも取れ、教師だから、警官だから、政治家だからという肩書きに関係なく、単純に動機が

男だから

みたいな「ええじゃないか」風刹那的ムードが世間に蔓延しているからかもしれましぇん。

私の弟子であるアミーゴの面々とオフ会を開催した時の話である。

二次会は少し話しをしようということになり、MICKのとっつぁんの知っている店へ移動した。そしてまたそこのネェちゃんが「赤いミニ」を履いて我々の向かいに陣取り、フェロモンオーラーバリバリの状態で酒の相手をしてくれたのだ。

弟子集団アミーゴのメンツは半数以上が男である。酒は飲み談笑もするが、どうも気になってしょうがない。ってのは私だけではなかったハズである。

そして一番年輪を刻み込んでいるMICKのとっつぁんである。もしかしたらそれは「十八番」のおふざけであったのだろう。

顔は横を向いてそれぞれ話をしているようでも、白目の部分ではネェちゃんのミニの位 置を皆、確実にロックオンしていたのであった。男とはそういう場合「人間の視野の限界」を楽々と越え、ライオンに食べられまいという思いが進化を促進させた「鹿並の視界」を誇ってしまうものなのだ。

話に少し間が空き、向かいのネェちゃんが足を組み替えようとしたその瞬間

MICK「あれっ?今日ノーパン?

肉体をジムで鍛え上げ「幸せの階段」という結婚までの過程を描いたカナスギも、

法律の勉強に励み、ドハデなスーツを身に纏い、クールに決めて姫路に来たイギリス紳士も、

長身で甘いマスク。「会話は知的でなきゃ」といった風情を漂わせるYB(ワラビ)も、

全員が身を乗り出し眼球が2ミリ程飛び出た事実!!

一人笑うのはMICKのとっつぁんだけである。それにしてもなんちゅう低レベルなトラップであろうか。なんのヒネリもないではないか。

その時は不思議と「悔しい」という思いは何故か起こらず、逆に、眼球を突出させてまでも瞬時に大量 のデーターを脳内に取り込むべく肉体を変化させる「男の性」に何かこう宇宙的神秘を感じ、それは感動さえ呼び起こすと同時に「師匠」「弟子」といった概念さえも飛び越える

おまえもか

といった奇妙な連帯感が生まれるホットなヒトコマであったのだった。

「そろそろ各自悔い改める時だよ。」

前の会社の友人は毎日が電車通勤である。夏になるとそこは「目の保養大祭」になるらしい。しかし彼の嗜好は少し変っていた。普通 男であるのなら「胸の谷間」 とか「見えそうなスカートの中」が最もソソるポイントであると考えるのだが、彼の場合は「太モモに浮いた青い血管」に大層欲情してしまうそうなのである。そしてそれは

青ければ青いほどイイ

そうなのだ。

「あの白い太モモに浮く細かく枝分かれした真っ青な血管がね…」

そんなに熱く語られてもこちらとしては困るのである。

「そろそろ各自懺悔する時だよ。」

友人の一人に「メルモちゃん」でさえも興奮の対象に入るというスジ金入りのロリコンがいる。漫画の神様である手塚治虫先生も草葉の陰から五寸釘を打ちたくなるような男だ。彼女イナイ歴は何年になるのかさえ無駄 に思え、それは単純に「自分の年齢」とイコオルなのであるが、ここまでくると末期症状もメタモルフォーゼして悟りにまで達している風なのであった。そんな滅多と他人に自分の感情をさらけ出さない彼が、コーヒーを飲み終えた後にポツリと言った一言。

やっぱり…毛が生えたらお終いなんだよね。毛が。

これはやはり「ヒトとして間違っている」と思うのだがどうか?

「そろそろ言い訳はやめにしようよ。」

会社の先輩が威張りながら私にこう語った。俺なんか良い夫になる方だと思うよ。その根拠はというと

飲まない 打たない 買いまくる

単純に「2対1」だからだそうだ。しかしこれは冷静に考えれば美化を含んだ正当化としか思えず、最後の項目を「まくって」しまうのが実は一番ヒドイ事なのではないのか? と思うのだ。

紹介した彼らには夢前川の上流に奇麗な水の落ちる滝がある。そこへ有給を取ってでも一度滝に打たれに行くことをオススメしたい。澄んだ水の流れはこびりついたしつこい助平心をも洗い流してくれることであろう。

えっ? 誰ですか? 「呉さんもオッパイ星人じゃないですか」などという無責任な野次をモニターの向こう側から飛ばす輩は。

(2000.4.19)