ボニョ〜ン(音符化不可能な不気味なBGMどよめく会場)
アナ「れ、霊さん。どうも顔らしきものが写されていませんか?目らしきものが発光しているようにも見えます。これは一体どういうことでしょうか?」
霊「いや、これは単純にプリントの焼き増しミスで、霊的なものは感じられません。寒けも大五郎さんの妄想でしょう。」
アナ「そ、そんな貴方、身も蓋もない。大五郎さん。安心してお休みください。害のあるものではありません。」
霊「さて、久しぶりのワイドショー心霊写真特集。子供の頃、トラウマ並に恐怖を与え続けた心霊写
真特集。毎週でも放映された心霊写真特集。夏の風物詩心霊写真特集…。」
アナ「ち、ちょっと、霊さん。勝手に番組を進行させないでくれませんか?」
霊「何故、2000年を迎えた現在、どこの局もまったく放映しなくなったのでしょうか? 出版界もそうです。あれだけシリーズで巻を重ねた心霊写
真集を何故一冊も出さないのでしょうか?」
アナ「急にそんな事言われましても…。」
霊「不自然だとは思いませんか? まったくないのですよ。心霊写真自体が消えそうな文化になりつつある。1980年代、あれほど毎週放映され、翌日、クラスの話題独占であった番組なのに…。そこで私は推理したのです。よろしいですか? ここにお集まりの皆さん。」
アナ「な、なんで急に探偵みたいな口調になるのですか? それで霊さん、何やってるんですか? えっ? 私にワトソンの霊を憑依させる降霊術をかけている? そ、そんなやめてくださいよ…うっ。」
霊「そこで私は推理したのです。今でこそポピュラーなデジタル写真。パソコンで加工するフォトソフトがあれば、個人でも不思議な写
真は簡単手軽に作れるのです。現代ではアイコラなど「あたりまえ」な時代なのです。」
アナ「ほう、それで? ホームズ。」
霊「つまり1980年代、プロの世界では一般的ではなかったであろう今で言うフォトソフト、昇華型プリンターの類いが「あった」のではないか? と推理するのです。それが一般
家庭に普及した途端、申し訳ないように消えていった心霊写真番組の存在自体、無言の内に私の推理を立証してくれているとは思えないかい?」
アナ「そうだよ、きっとそうだよ、ホームズ!」
霊「心霊現象に「飽きる/飽きない」はないよ。しつこいくらいに毎週放送された番組が、2000年ではまったく無いといっていい程、減少しているんだ。こちら側が理解した途端「ナンセンス」になってしまったと推理するんだよ。」
アナ「そうだよ。サイコーだよ、ホームズ!」
※
P.S 番組の収録は無事終了した。翌日の番組編成では当初「視聴者より寄せられた心霊写
真特集」のタイトルであったのが、急遽「生収録、目の前で起きた降霊憑依現象」にすり替わったのは、一部の上層部しかしらない事実であった。