11時のワイドショー

(流れるテーマソング)
11時のワイドショー 11時のワイドショー
11時の安らぎワイドショー
11時のワイドショー 11時のワイドショー
11時のワイドショー 11時の夢



アナ「コンピュータ化の進んだ現代社会。科学万能の世界は遺伝子を組み替え、神の領域まで近づきつつあります。しかしそんな現代においても科学の力では決して解明することのできない謎があります。数式では解くことの出来ない謎を今日は皆さんと一緒に考えていこうと思います。それではゲストの方の紹介です。超自然現象臨床心理応用科学技術研究室本部長である「人魂・霊」さんをお招きしております。 」

霊「こんにちは。よろしくお願いします。」

アナ「さて霊さん。今回も視聴者の皆様よりたくさんの「不思議な写 真」が寄せられています。」(会場どよめく)

霊「なんだか見る前から私の身体全身に鳥肌が立ってきましたよ(笑)」(会場軽い笑い)

アナ「それでは早速一枚目の写真を見る前に、大屋さん。コマーシャルです。」

大屋「はぁい。大屋です。皆さんは洗濯の時「あれっ、たくさん洗剤を入れたのに汚れが落ちてない」みたいなこと今までにありますか? そんな時、私がオススメするのがコレ。メリケンライオンの「スーパーデリート2」です。これを使えばどんなにしつこい油汚れでも一発で信じられない驚きの白さ。そのあまりの漂白作用に業界もビックリの新製品です。なおご使用時は一度規定量 の水で薄めてからお使いください。原液のまま使われると衣類の柄が落ちたり、虫食いの穴が広がったり、洗濯機が溶解してしまう恐れがあります。便利なお徳用詰め替え用セットも大好評。それでは会場にマイクをお返しします。」

アナ「はい。それでは早速一枚目の写真を御紹介いたしましょう。こちらです。」

ボニョ〜ン(音符化不可能な不気味なBGM)

女性アナ「この写真は東京都にお住まいの「J○さんの彼女」19歳(仮名)さんからのお便りです。
初めてお便り差し上げます。毎週この番組を楽しみに拝見しております。実は先月から交際を始めた彼と、彼の部屋で「記念にそろそろ写 真でも撮ろう」ということになり、じゃれあいながらその日は撮影したのですが、現像が上がってみると後ろに誰もいなかったハズなのに、もう一人の手があるように見えるのです。気味が悪くなって彼に相談しても「きっとプラズマだよ」といって真剣に取りあってくれません。 どうぞ御鑑定ください。」(会場どよめき)

アナ「いやぁ、一枚目から参りましたね。見えます。確かに手らしきものが見えますね。どうでしょうか? これは。霊さん。」

霊「これはですね。一種の「守護霊」です。それも彼女さんの方の守護霊です。おそらく「この男にはもう一人女がいる」という警告を写 真を通して彼女に発しているのでしょう。「二股チキン野郎」ということです。害はまったくありません。」

アナ「あなたを守る守護霊ということだそうです。どうぞ御安心ください。さて二枚目です。」

 

ボニョ〜ン(音符化不可能な不気味なBGM)

女性アナ「続いての写真は群馬県にお住まいの「熊野大五郎」58歳(仮名)さんからのお便りです。
初めてお便り差し上げます。この写真は長年の趣味であるバードウォッチングに行った時に撮影したもので、私と鳥との出会いというのは、それはもう可愛い、途中省略させていただきます。そして昼食を食べ終って周りの風景をカメラに収めようとして野外でシャッターを切ったのです。その瞬間私の身体に寒けが走りました。ここ最近寒けは感じる体質でした。夜中に厠が近く、途中省略させて頂きます。そのどれとも違う寒けでした。気になって眠れませんので一度御鑑定ください。」

アナ「はい。ということで、こちらで拡大した写真を用意しました。こちらです。どうぞ。」

ボニョ〜ン(音符化不可能な不気味なBGMどよめく会場)

アナ「れ、霊さん。どうも顔らしきものが写されていませんか?目らしきものが発光しているようにも見えます。これは一体どういうことでしょうか?」

霊「いや、これは単純にプリントの焼き増しミスで、霊的なものは感じられません。寒けも大五郎さんの妄想でしょう。」

アナ「そ、そんな貴方、身も蓋もない。大五郎さん。安心してお休みください。害のあるものではありません。」

霊「さて、久しぶりのワイドショー心霊写真特集。子供の頃、トラウマ並に恐怖を与え続けた心霊写 真特集。毎週でも放映された心霊写真特集。夏の風物詩心霊写真特集…。」

アナ「ち、ちょっと、霊さん。勝手に番組を進行させないでくれませんか?」

霊「何故、2000年を迎えた現在、どこの局もまったく放映しなくなったのでしょうか? 出版界もそうです。あれだけシリーズで巻を重ねた心霊写 真集を何故一冊も出さないのでしょうか?」

アナ「急にそんな事言われましても…。」

霊「不自然だとは思いませんか? まったくないのですよ。心霊写真自体が消えそうな文化になりつつある。1980年代、あれほど毎週放映され、翌日、クラスの話題独占であった番組なのに…。そこで私は推理したのです。よろしいですか? ここにお集まりの皆さん。」

アナ「な、なんで急に探偵みたいな口調になるのですか? それで霊さん、何やってるんですか? えっ? 私にワトソンの霊を憑依させる降霊術をかけている? そ、そんなやめてくださいよ…うっ。」

霊「そこで私は推理したのです。今でこそポピュラーなデジタル写真。パソコンで加工するフォトソフトがあれば、個人でも不思議な写 真は簡単手軽に作れるのです。現代ではアイコラなど「あたりまえ」な時代なのです。」

アナ「ほう、それで? ホームズ。」

霊「つまり1980年代、プロの世界では一般的ではなかったであろう今で言うフォトソフト、昇華型プリンターの類いが「あった」のではないか? と推理するのです。それが一般 家庭に普及した途端、申し訳ないように消えていった心霊写真番組の存在自体、無言の内に私の推理を立証してくれているとは思えないかい?」

アナ「そうだよ、きっとそうだよ、ホームズ!

霊「心霊現象に「飽きる/飽きない」はないよ。しつこいくらいに毎週放送された番組が、2000年ではまったく無いといっていい程、減少しているんだ。こちら側が理解した途端「ナンセンス」になってしまったと推理するんだよ。」

アナ「そうだよ。サイコーだよ、ホームズ!

P.S 番組の収録は無事終了した。翌日の番組編成では当初「視聴者より寄せられた心霊写 真特集」のタイトルであったのが、急遽「生収録、目の前で起きた降霊憑依現象」にすり替わったのは、一部の上層部しかしらない事実であった。

P.S(イイ子にするから祟らないでネ。)