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巨乳コンビニ
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なぜ世のお金持ちは「巨乳コンビニ」をオープンしないのか? ということを私は声の音量を大にして言いたいのである。 仮に私がtotoくじかなにかで2億円程いきなりポーンと入ってきたとしたらだ、私は迷わず地元の幹線道路沿いに建てちゃいますね。「巨乳コンビニ」を。 それは街によくあるコンビニのような造りであるのだが、決定的に異なるのは通常ガラスで中の様子が丸見えのところが、マジックミラーになっていて、入るまでは中が一体どんな騒ぎになっているのかがわからないところである。 はじめてのお客さんは当然の如く戸惑いを隠せないであろう。しかし見上げると看板には「巨乳コンビニ」である。喉が渇いた。缶コーヒーが飲みたい。コンビニなら缶コーヒーくらい置いてあるだろう。 20歳浪人生[彼女イナイ歴20年(童貞)]くんは恐る恐る店の中に入る。そして店の看板が偽りでないことに衝撃を受けるのである。レジには赤い(それも極限まで露出している)ビキニの若い女の子が二人。 当然、巨乳である。 普通のコンビニに慣れている浪人君は違う様子に最初は面食らう。しかしジワジワと感動が込み上げてくるのだ。缶コーヒーを探しながらきっとこう思うハズだ。「ビキニで巨乳じゃないか」と。笑顔が溢れ、喜びを隠しきれない。 ゆっくりと缶コーヒーを手に持ち、これまたゆっくりとレジに向かう。「これ、お願いします。」その距離約30センチ。巨乳に話しかける。 そしてレジの女の子はフィーリングで価格を決めるのだ。 「ありがとうございます。缶コーヒー228円になります。」 シマッタ。と浪人君は思う。こういうことだったのか、と。相場よりも高い。目の保養代が含まれているのだな。しかし目の前でこの巨乳だ。缶コーヒー2本飲んだと思って納得しよう。浪人君は必死に自分に言い聞かす。 浪人君は視線が「巨乳」一点に絞られているため、財布の中を見ないで適当にお札を渡す。 するとレジの女の子は慣れた手つきでお札をたたむと、それを胸の谷間に一旦挿すのだ。 「5000円からでよろしいでしょうか?」 浪人君は直立不動のまま硬直する。なんてことだ。預かった紙幣を胸の谷間でストックしている。そういうシステムなのか。これが巨乳コンビニの魔力なのか。 レジの女の子が問いかけてきているのだ。応えない訳にはいかない。 「あっ、8円だします。」 慌てて5円玉と一円玉を差し出す。するとどうだ。レジの女の子はその豊満な胸を更に前に突き出してくるではないか。こ、ここに小銭を並べろというのか。そういうシステムなのか。これが巨乳コンビニの魔力なのか。 浪人君は笑顔で目が細まり、ヨダレを流しながら小銭を一枚一枚、レジの女の子の胸にはりつける。その際、並べるフリをして、この20歳浪人生童貞君は姑息なことにも「他の指がすこしでも巨乳にあたるように」わざとらしくならべるのである。 母さん。今夜のオカズは決まりだね。 状態である。 並べ終わった後に浪人君はフト気が付く。「あの谷間にストックしてあるお札が欲しい」と。カワイイ女の子の谷間にはさまれた五千円札を回収し、それを持ち帰って額にでも飾りどうやらお宝にでもしようという魂胆だ。 慌ててサイフから千円札を抜く。「あっ、よく見たら千円札ありました。」 女の子が胸を前に突き出した。マンモスラッキー。ジブンデヌイテイインダ。オンナノコノムネノタニマ、ハジメテサワレル。震える手でお札を抜く。手刀を垂直に胸の谷間へ滑らせる。至福の瞬間。少し汗で湿っている。涙が出そうなくらい嬉しい。まぁ、書いていて自分もここまでセコくなりたくはないが…。そしてレジが男に決定打をあびせる。 「1008円、丁度頂きました。」 ええーっ。さっき228円って言ったじゃーん。ってのは巨乳コンビニでは「ナシ」である。それは姑息で卑怯で破廉恥極まりない浪人生の行動に課せられた、適性な行為の価格なのである。もうちょっと紳士的に振る舞えばよかった。指を肌に触れず小銭を並べればよかった。母さんの仕送りを無駄使いしてしまった。後悔する浪人生。それでも学習効果というものはあり、次回の浪人生は肌に触れず、安く巨乳コンビニを利用する術を学ぶのであった。結局また行く。ということなのだ。 12時少し前になると、おもての電光掲示板に「補充」の文字が流れる。そうなると「ここは満員電車の中か」といった様相を呈する。なぜならば補充はレジの女の子が小さい段ばしごでオニギリコーナーの補充をするからである。 絶妙なアングル。オニギリコーナーは「かぶりつきゾーン」と化す。飛ぶように売れるオニギリ。当然一個228円だ。 オーナーである私は裏方でモニターを見ながら、嬉しさのあまりヤッターマンのドロンジョ様のように叫びまくる。 「ありやとやんした。ありやとやんした。」 そこまでくると私もとっくにサラリーマンを辞めてオーナー業に専念している為、次第に風格も出てくる。店の経営方針はある意味次世代型とも言えた。11時オープン、夕方4時閉店である。人間を8時間以上も労働させるなどナンセンスだ。と考えるのだ。8時間も仕事すれば化粧は落ちるは、足はむくむは、シワもふえる。短い時間で利益を上げ、短時間、業務に集中してもらい、自分の時間を大切にしてもらって充分リフレッシュしていただこう。という私の寛大な考えなのだ。 そんな優しいオーナーである私に向かって「この店はアタシの人気で持ってるのよ。」みたいな、温厚な私を本気で怒らせる慇懃無礼な態度を取りだしたレジの女の子。 そういう自意識の肥大化したコナマイキな小娘は、月一のネットオーディションにより容赦なく叩き落とす。 それは新しく面接に来た女の子の写真をホームページに出して、今いるスタッフと投票によって競争させるのだ。 市民が選ぶコンビニのレジ。これで地域に密着しないわけがない。投票日は街中ヒートアップである。知らないうちに「お局」の人相が出ている古株は、汚れを知らぬ初々しいフレッシュギャルによって自然淘汰されていくのだ。市民の支持である。オーナーの私が恨まれる筋合いなど無い。 「ワシが選んだんじゃ。」 ボディはとっくに終わってはいるが、せめて脳内だけでもイこうするエロジジィは、今日も年金を自分が選んだレジ係の胸の谷間に差しに行くのであった。まるで孫を見るような優しい細い目をして。 近くにいるインテリのサラリーマンは入口付近で独り言を言いながら店にはいる。 「いやぁ、よかったよ。僕は足が悪いから隣町のスーパーに行けないんだ。近所に出来てよかったよ。」 このインテリサラリーマンの足は全然健康なのだ。 そして半期に一度のお客様サービスデーの日が近づいてきた。その日一日だけはホームページに寄せられたお客様のデザインしたコスチュームで業務するのだ。この企画はもう大ブレイク。 「荒縄コスチューム」みたいなかなり病んだ投書も寄せられる。それでも市民がデザインしたのだ。店の前には「3丁目田中さんのデザインした衣装が採用されました」と拡大コピーが貼られる。田中さんのイラストを拡大したものだ。 街行く人々は「このコスチューム、ま、マジかよ。」と、蟻地獄に吸い寄せられる蟻のように店の中へおびき寄せられていくのだ。 客層は何も男ばかりではない。「どれほどのもんよ。」美貌に自信のある若い女性が店内に入り、レジの娘をじっくりと観察する。 「勝った。」 そしてその女性はオーナーの私にせまってくるのだ。「あんなションベン臭い小娘より私の方が絶対いいわよ。」そして私はメジャーを取りだし面接試験を開始する。不合格。女性泣きながら帰り支度。バスト83センチだったのだ。合格ラインは86センチからであった。 ホームページに多数のラブコールが寄せられる。「ウチの街にも出店してくれ。」脱サラした私もいつのまにか全国展開の睨める経営者になってきた。高額所得者番付に名を連ねるのも、そう遠い未来の話ではない。 以上、ザッと書き出してみたが、地域一番店を阻害する要因など、どこをどう探しても見当たらない。成功あるのみである。 なぜみんなオープンしないのであろうか。巨乳コンビニを…。 (だから風営法に思いっ切りひっかかるってばさ。) (2001.6.28) |
完
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