
ムシムシ大行進(後編)
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私がいかに昆虫がキライであるかは前回書いた通りである。 まだ半分も語り尽くせてはいないが、書き出すと大長編になる恐れがある為に割愛するとして…。なんにせよ私はこれまでなるべく昆虫と関りのない人生をおくってまいりました。 しかし私も男!! 男のプライドとして、決して嫁にはこの秘密を知られたくはなかった。しかし昆虫はまたしても私のナイーブな心を踏みにじったのだ。 ゴキブリ…。 奴は平穏な我が家に突然あらわれた。 妻「あっ。パパ〜。ゴキブリとって〜。」(ごく普通に。) 呉「えっ。ええっ!」(結婚生活はじまって以来の危機&硬直) 私はその時、新聞を読む手が完全に止まった。 妻「ホラホラ。その新聞でパチンと!」 呉「パチンとってオマエ。俺、ま、まだテレビ欄を読んでいない。」(動揺!) 妻「あーー。ほらぁ。モタモタしてるから逃げたやないの。」 呉「モタモタとはなんだ!」(夫の威厳!) 妻「あっ?あれ〜?もしかして。パパ。ゴキブリ怖いの?」(疑惑の目) 呉「ば、ばか言ってんじゃないよ。」(BY ヒロシ&キーボー) 妻「だって、ものすごーく嫌そうだったけど。」 呉「寝起きにそんなに素早く動けるか!オマエ起きてすぐにジャンプして正確に的を狙えるのか?!」 妻「それもそうね。」 呉「オマエ。ゴキブリホイホイはどうした!」 妻「ああ。今、切らしてるけど。」 |
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妻「な、なんでそこまで怒るのよう。いいじゃないの。ない時はパパが退治してくれたら。」 呉「そりゃ。退治はするけどさぁ。逃げたんなら仕方ない。仕方がないよな。ハハハッ。」(安心して笑ってしまった!) 妻は再び台所に立ち、洗い物を再開。私は安心して新聞を読み始めた。 妻「パパー。コーヒー飲んだのならついでに洗うからコップ持ってきて〜。」 呉「あいよ〜。」 その時である! 妻「パッ、パパ!出た!出たよ!!早く、早くう!」 無情にもゴキブリは出現した。奴は我がもの顔で台所の床を8の字に走った。それも至近距離! 俺をなめまくりである! 妻「は、早くやっつけて!!」(頼る妻!) 呉「スマン。ゲリかもしれない…」(大うそ) 私はゴキブリの出現位置とは反対方向にある便所にあわてて駆け込んだ。 こうするしかゴキブリとの対決を避ける方法はなかった。 私は便所にしっかり鍵をかけ、嵐が通り過ぎるのをじっと待った。ドアの向こうでは妻の奇声がエコーしている。(ゆ、許してくれ!) しばらくして声がしなくなったところで、私はしてもいないのに便所の水を流した。 呉「アイテテテテ。」(グラミー賞!) 妻の目は涙で潤んでいた。ゴキブリの奴、好き勝手に暴れまくったのであろう。 妻「パパ。ひどいよ。」(半泣き) 呉「仕方がないだろう。急にハラが痛くなんたんだから。」 妻「なんで急にトイレに行きたくなるのよぅ。」(涙目) 呉「じゃあオマエはゴキブリが暴れるのと、俺が漏らすのとどっちがいい」(究極の選択) 妻「そんなんどっちもイヤに決まってるやないの!」 あたりまえだ(笑)。しかしこの様子では、いつまた出現するかわからない。 呉「オイ。キンチョールはあるのか?」 妻「棚の中にあるわよ。」 私はものすごく安心した。笑われるかもしれないが、私は仮に新聞で打ち殺すにしても間接的に新聞を経由して手に伝わるのをイメージしただけでも さむイボ が出るくらいなのだ。 それならば距離をおいて攻撃できるキンチョールなら、私にも勝算はある。私は身近にキンチョールを置き、警戒をゆるめることはなかった。 昔から「ゴキブリを1匹見たら20匹いると思え。」という、とんでもない話がある。 それが昔の人の知恵であるならば、現在の我が家はのっぴきならないところまで来ている事になる。考えただけでも気を失いそうだ。 そんなことを考えているうち、妻は近所のスーパーに買い物に出掛けていった。 私はパジャマを着替え、日曜日だがヒゲを剃っておこう。と風呂場にカミソリを取りに行った時、 奴はいた! あわてて風呂場の戸を閉める。動悸が高まる。 しかしゴキブリは一体どういう道を通っているのか?台所から見えなくなったと思ったら今度は風呂場だ。 私はキンチョールを手に取る。幸い風呂場の窓は閉まっていた。いうなれば密室である。 私は風呂場の戸を1/4程あけ、そこから一気にキンチョールを放出した。延々と5分間の放出。風呂場は農薬を散布した後のように空気が白んでいた。 恐る恐る風呂場の中を覗きこむ。奴は非常識な量のキンチョールをくらい、完全に昇天していた。風呂の戸も床もネチョネチョであった。しかし退治には違いない。 しばし勝利の余韻にひたっていると妻が昼のラーメンを買って帰ってきた。 呉「ゴキブリ。退治しといたよ。」 妻「わぁ〜。ありがとう。わっ。なにこれ。」 妻は風呂場の異様な空気に気が付いた。 妻「アンタ。どれだけ薬まいたんよ?」 呉「いや〜。最近のゴキブリはしつこいね。なかなか効かなくて。」 妻「本当?まぁ結構大きいけど…。」 呉「さっ。俺は退治したからオマエが始末しといて。」(役目終了) 妻「何言うてんねん!」(激怒) 妻「さっさとティッシュ持ってきてゴミ箱に捨てといて。男やろ。」 その後、私はティッシュペーパーを20回くらい引っこ抜き、手を完全に武装し、半泣きになりながらもゴキブリを捨てるハメになったのであった。 ゴキブりも怖いが、嫁さんもこわ… |
フェードアウト
これを読んでいる独身者諸君。
「女房には最初にニガ手な事を言っておけば、長い人生、楽だ。」
と、言っておきたい。
完