
「忍の一文字」
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ふと見たテレビニュースの見出しが目に飛び込む。 「熟年離婚」 二十年連れ添おうが、三十年連れ添おうが、最近の熟年夫婦はいとも簡単に別れてしまうものらしい。怖い話ではないか。他人事ではないような気がする。 そのニュースによれば嫁が夫に別れを叩きつけるケースが多いようで、アンケートなどでは 「ただの”同居人”になってしまっていたから…」 という主婦の答えが印象的であった。 要するに男はいつまでも気を抜けないということなのだ。 毎日仕事から疲れて帰ってきて寝るだけ。休みの日は年中家でゴロゴロ。ましてや、たまに我が家でリラックスするあまり”屁”でもここうものなら、即座に嫁から 「最悪の同居人」 という烙印を押され、さっさと新鮮で刺激のある別の男性との新しい恋に鞍替えされちゃうのである。 なら世間の亭主は一体どこで気を抜けばいいのか。 どこに心の安らぎを見出せばいいのか。 果たして世の中から古きよき”亭主関白”というものは駆逐されてしまったのであろうか? 関白。いい響きではないか。豊臣秀吉はその昔、関白太政大臣まで登り詰めた。太閤殿下である。 それに比べて私はどうだ。関白とまでは言わない。せめて一家の主である私が”足軽級”の扱いをされることだけ改善されれば何も文句はない。 99年のゴールデンウィークの初めの方。子供が寝静まればそこからは夫婦の時間である。 呉「おいおい。これだまされたと思って見てみ? デジカメもついに200万画素時代の到来や。前にも言うたと思うけど、これはフィルム代もいらんし、パソコン上で簡単にハガキも作れる。一世代前のクラスでは物足りんかった画像も今ではビックリするくらいのレベルアップや。ちょっと前までは”100万画素”言うて騒いでたのになぁ…」 嫁「100万画素かなんか知らんけど、今、100万円の貯金がある方がよっぽどエエわ…。」(しみじみ) 呉「100万円なんて札束。人生の中で”結納”の時の一回こっきりしか見てへんなぁ。なはははは。」 嫁「ワレ笑いごとちゃうんじゃ!」(怒号) 呉「お、おい。なんで急に怒りだすねん。」(汗) 嫁「アンタがマックの部品をローンして、それがやっと終った思うたら今度はデジカメかいな。去年は貯金しとかなアカン分、みなアンタのアホなローンに飛んだんやで。わかってるんか?」 呉「…。そ、それでも別にローン会社に莫大な借金したわけと違うやろ? やれる範囲でやってるだけやないか。」 嫁「アンタ一人の範囲でな。アンタのせいで去年は私、メチャクチャ辛抱させてもらったわよ。生活を切り詰める為、奥さん連中と子供連れて行く”潮干狩り大会”用のビーチサンダルも”ショップこえづか”のワゴンセールで買ってるんやで。500円や!」 呉「そ、そうやったんか?…」 嫁「でもな。そのサンダル。5Fの奥さんから「2500円くらいしたの?」って聞かれてなぁ…」 呉「オマエ一体何を俺に伝えたいんや?!」 嫁「ちょっと話がそれたわ。そういう地道な節約をしている私と違うて、アンタはなんや? マックの本が出るたんびに「これはいい」とか「これは外せないだろう」とか訳わからんことばっかり言うて。一体どこの金持ちや? ホストにでも勤めに行きや。まぁそんな太ったホストなんて年間御指名”ゼロ”やろうけどな。」 呉「す、好き勝手言いやがって。」 嫁「いつまでもこんなアホな話しとっても意味がない。要点だけ言うで。私はいつも言ってるやんか。土曜の晩「更新があるから…」とか言うて夜更かしして、結局日曜の朝は絶対に昼起きや。他の階のご主人さん見てみ? 早ようから子供と一緒に公園で遊んでるで。アンタは恥ずかしい父親とは思わへんのか?」 呉「…(汗)」 嫁「私の望みはただ一つや。貧乏でもいい。みんなでご飯食べて、みんなで同時に寝るアットホームな家庭。それがなんでアンタは出来へんのや!」 呉「でもオマエ「貧乏でもエエ」言うたかて、月末赤字になったらすぐ「離婚する」って言うやんか!」(号泣!) 嫁「それはアンタの甲斐性。胸に手ェ当ててよく…」 |
フェードアウト…。
これを読んでいる独身者諸君。ぜひ心して耳を傾けてほしい。
「よく”女なんて手のひらで遊ばせる気でいろ”と言うが、
そんなもん”気休め”だ。」
と、一言いっておきたい。
完